年金分割の基本ポイントをQ&Aで解説

著者は年金分割の問題に強い行政書士の辻雅清

公開

初めまして、行政書士の辻 雅清と申します。

2010年に開業以来、下記業務について力を入れております。

・離婚協議書作成(全国対応)
・離婚公正証書の代理作成(全国対応)

離婚時の年金分割は馴染みがなく難しい制度なので理解できない。と考える方が多いです。

婚姻期間が長い40代、50代、60代のご夫婦にとっては大事な離婚条件になるので是非検討をして下さい。

ここでは年金分割の基本的な内容についてQ&A形式でわかりやすくお伝えします。

なお、年金分割の相場や手続きなどの詳細は以下のページをご覧下さい。
わかりやすい離婚時の年金分割の情報通知書や相場‐手続きを解説

【目次】

○ 年金分割の制度とは?
○ 国民年金しか納付していない夫婦はどうなる?
○ 個人年金は年金分割の対象になる?
○ 年金分割は何から始めたらいい?
○ 年金分割の情報通知書とはどんな書類?
○ 40代、50代、60代の夫婦は年金分割をするべき?
○ 離婚チェックシートの回答から始めませんか?

年金分割の制度とは?

離婚時の年金分割制度はわかりにくいので簡潔にお伝えします。

婚姻から離婚までの間にご夫婦の一方、又は双方が納付した厚生年金をわける制度です。

例えば、会社員の夫が専業主婦の妻に厚生年金をわける場合、
将来、夫の年金受給額は減ることになりますが、妻の年金受給額は増えます。

なお、双方が厚生年金を納付していた場合、
婚姻中に多く納付していた側から少なく納付していた側へわけます。
つまり妻が多く納付していた(妻の収入が夫より上)場合、妻から夫へわけるケースもあり得ます。

最後に年金分割は婚姻中に納付した厚生年金をわける制度なので独身時代に納付した厚生年金は対象外となります。もちろん離婚後に納付する厚生年金も対象外となります。

国民年金しか納付していない夫婦はどうなる?

主に個人事業主(自営業)の方が国民年金しか納付していないご夫婦に該当します。

離婚時の年金分割は厚生年金をわける制度なので、
婚姻中に国民年金しか納付していないご夫婦は制度の対象外となります。

つまり夫婦間の離婚条件の中に年金分割は含まれません。
養育費、慰謝料、財産分与など年金分割以外の離婚条件の協議を行います。

個人年金は年金分割の対象になる?

離婚時の年金分割は厚生年金をわける制度なので、
民間の保険会社にて加入している個人年金などは制度の対象外となります。

なお、個人年金などは年金分割ではなく財産分与の協議で決めることになります。
例)財産分与として個人年金を解約し解約返戻金を分配する。

年金分割は何から始めたらいい?

年金分割には3つの申請パターンがあります。
婚姻中の職種(働き方)や婚姻時期の応じて申請方法が決まります。
この申請方法が異なる。という点があるので年金分割制度は難しいと考える方が多いです。

〈3つの申請パターンとは?〉
① 婚姻期間の全てが合意分割に該当
② 婚姻期間の全てが3号分割に該当
③ 婚姻期間の一部が合意分割、残りの期間が3号分割に該当

自分が離婚時の年金分割の該当者になった場合、
先ずは①~③どの申請パターンに該当するか。という確認から始めて下さい。

自分がどの申請パターンに該当するかわからない場合、年金事務所や専門家へ相談をして下さい。すぐにわかる可能性が高いです。

なお、申請パターンの判断を誤って年金分割の申請をした場合、
二度手間(やり直し)になるので、様々な情報を取得した上で判断して下さい。
例)3号分割に該当すると思っていたのに合意分割の該当者だった。

年金分割の情報通知書とはどんな書類?

合意分割に該当する方に必要な書類です。
年金事務所に請求をすれば、時間はかかりますが情報通知書は発行されます。

〈情報通知書ではどこを確認する?〉
・年金受給額が増える人、減る人の氏名を確認
・按分割合(分配する割合)の範囲を確認

先ず共働きで双方が厚生年金を納付しているご夫婦の場合、
年金分割の申請をすることでどちらが受給額が増える側か減る側かわからない。というケースがあります。

情報通知書には第一号改定者、第二号改定者という項目があります。
第一号改定者に記載されている人は減る側、第二号改定者に記載されている人は増える側になります。

このケースのご夫婦の場合は、情報通知書を確認してこの項目を確認して下さい。

そして合意分割に該当する場合、按分割合(分割する割合)は夫婦間の協議で決めます。

最大値は折半(50%)ですが、最小値は各夫婦ごとでバラバラです。
折半以外の割合で合意することを検討している場合、情報通知書の按分割合項目の最小値の確認が必要です。

40代、50代、60代の夫婦は年金分割をするべき?

基本的にはどの年代でも離婚時の年金分割の申請は検討するべきですが、
40代以降のご夫婦の場合、婚姻期間が長いことが多いので年金分割の申請検討はするべきです。

婚姻期間が長い場合、将来の年金受給額への影響は大きくなります。

特に婚姻中は扶養内の仕事をしていた方、専業主婦の方は年金分割の申請をすることで年金受給額が大幅に増える可能性が高いです。

なお、離婚時の年金分割は離婚後2年以内の申請が必要です。
離婚前から準備をして離婚後迅速に申請ができるようにしてほしいです。

年金は老後の生活資金となります。笑って過ごせるように難しい制度ですが検討をして下さい。

最後に離婚時の年金分割制度はわかりにくい制度です。
難しいと感じた方は年金事務所や専門家への相談をお勧めします。

【参考情報】
年金分割の仕組みをわかりやすく解説‐年金分割の基本編 
年金分割の申請ができる職業とは‐自営業、会社員、公務員?
3号分割の基礎知識
合意分割の仕組みを具体例でやさしく解説‐離婚時の年金分割
離婚公正証書に年金分割を書く‐年金分割合意書の費用も解説
離婚Q&A(慰謝料請求について)
離婚Q&A(財産分与について)

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【離婚Q&A2 2025/04/22】