不動産の財産分与の公証役場手数料について

著者は財産分与の問題に強い行政書士の辻雅清

公開

初めまして、行政書士の辻 雅清と申します。

2010年に開業以来、下記業務について力を入れております。

・離婚協議書作成(全国対応)
・離婚公正証書の代理作成(全国対応)

不動産を含む財産分与の条件を記載した離婚公正証書を作りたい。
と考えている方の多くが公証役場手数料(費用)の計算でつまずきます。

ここでは財産分与の手数料の計算方法について、
具体例を交えながらわかりやすく解説していきます。

【目次】

○ 公証役場手数料(費用)の内訳は2つ
○ 共有名義の不動産にかかる公証役場手数料は?
○ 名義変更をしない不動産にかかる公証役場手数料は?
○ 離婚チェックシートの回答から始めませんか?

このページは財産分与の公証役場手数料に特化した内容なので、
財産分与の相場、割合、流れ、分配方法などは掲載していません。

財産分与の相場などの情報についてはこちらのページをご覧下さい。
これから話し合いを始める方に役立つ内容です。

公証役場手数料(費用)の内訳は2つ

① 書面料金などの費用
② 財産分与の条件に関する費用

離婚に伴う財産分与の公正証書は公証役場でしか作れません。
無料ではなく不動産を含む財産分与の条件に応じて算出された公証役場手数料(費用)が発生します。

つまり一律料金ではなく各ご夫婦が決めた財産分与の条件に応じて費用が決まります。

公証役場手数料(費用)は①+②の合計額で算出されます。

先ず①書面料金などの費用は公正証書の書面代です。
枚数(ページ数)に左右され平均1万円前後になるご依頼者様が多いです。
注)この1万円には送達料金も含まれています。

なお、合意した条件の数が多い場合は枚数も増えるので費用は高くなります。

公証役場が債務者(主に夫)に公正証書を郵送する料金などを送達料金と言います。

なお、郵送料金がかかるのは代理作成を利用した場合のみです。
つまり債務者が公証役場に出向いた場合は郵送料金(1,000円程度)は節約できます。

そして②財産分与の条件に関する費用は目的価額から算出されます。
この目的価額がわかりにくいので、具体例を使って解説していきます。

〈目的価額とは?〉
・財産分与の支払総額が100万円までは5,000円
・財産分与の支払総額が200万円までは7,000円
・財産分与の支払総額が500万円までは11,000円
・財産分与の支払総額が1000万円までは17,000円
・財産分与の支払総額が3000万円までは23,000円
※3000万円以上の価額は割愛しています。

先ず財産分与では不動産、預貯金、動産(電化製品や家具)など様々な財産について分配協議をします。

そして協議した結果(結論)を離婚公正証書に記載しますが、
記載した全ての条件に公証役場手数料が発生する訳ではなく一部だけ発生します。
全てに手数料がかかると考えている方が多いのでご注意下さい。

〈どの条件に公証役場手数料が発生する?〉
① 離婚後に一括、分割問わず金銭を支払う条件(以下例1と例2)
② 離婚後に不動産を名義変更(移転登記)をする条件(以下例3)

〈例1〉
月2万円を50回払いで合意した場合は合計額が100万円となり、
目的価額100万円までに該当するので手数料(費用)は5,000円となります。

〈例2〉
離婚後、600万円を一括払いで合意した場合は合計額が600万円となり、
目的価額1000万円までに該当するので手数料(費用)は17,000円となります。

例1や例2は夫が自動車や不動産などを取得する代わりに対価として現金を分割(一括)で支払う。という状況が想定されます。

〈例3〉
離婚後、評価額2000万円の不動産の名義変更(移転登記)する場合、
合計額は2000万円となり、目的価額3000万円までに該当するので手数料(費用)は23,000円となります。

不動産の財産分与の目的価額は対象不動産の評価額から算出されます。
評価額は毎年4月~5月頃に役所から送付される固定資産税の納税通知書に記載されています。

評価額がどこに記載されているかわからない場合は役所に確認をして下さい。
また納税通知書を破棄している場合は役所にて評価額証明書の発行請求をして下さい。

なお、評価額は不動産屋さんが売買などで算出する評価額ではなく、納税通知書に記載されている評価額で算出するのでご注意下さい。

ちなみに一軒家の場合は土地と家屋の評価額を合算します。
例)土地は300万円、家屋は500万円の場合、評価額は800万円。

最後に少し話は逸れますが、一軒家の場合は評価額の算出は簡単にできます。
一方、マンションの場合は納税通知書を確認しても直ぐに算出できないので専門家への相談をお勧めします。

共有名義の不動産にかかる公証役場手数料は?

不動産が共有名義の場合、夫と妻の持分がポイントになります。

例えば、夫の持分が5分の3、妻の持分が5分の2の不動産があり、
財産分与で夫の持分を妻に譲る場合、評価額×5分の3が目的価額になります。

仮に不動産の評価額が1500万円の場合、目的価額は1500万円×5分の3=900万円となり、1000万円までに該当するので手数料(費用)は17,000円となります。

名義変更をしない不動産にかかる公証役場手数料は?

夫婦間協議の結果、不動産を財産分与しない。という結論を出す方も多いです。
例)夫名義の不動産は夫が取得する。

このケースでは名義変更(移転登記)をしないので、公証役場手数料は発生しません。

上述の通り、どんな条件でも公証役場手数料は発生する。と考えている方が多いのでご注意下さい。

【参考情報1】
5分でわかる財産分与の相場割合と流れ‐家や貯金の分配方法も解説
養育費の公証役場手数料を知りたい‐離婚公正証書の費用
慰謝料の公証役場手数料
動産の財産分与の公証役場手数料‐離婚公正証書の作成費用
養育費と慰謝料の合意があるケースの公証役場手数料の計算方法

【参考情報2】
不動産の財産分与は難しい?
ローンが終わっている不動産の財産分与
ローン残高が少ない不動産の財産分与
ローン残高が多い不動産の財産分与
財産分与の注意点(不動産)
不動産の財産分与の流れ‐財産分与に伴う不動産の名義変更

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離婚チェックシートの回答から始めませんか?

離婚チェックシートの概要

離婚協議書や離婚公正証書作成のご依頼を頂いた場合、
これまでの経験を反映した離婚チェックシートの送付から始めます。
注)離婚チェックシートだけの販売は行っておりません。

何度も内容のアップデートを繰返しています。
つまり開業以来の経験を多数反映したものとなっています。

離婚チェックシートとは

1.計13ページ63項目を掲載
2.協議離婚に必要な情報を全て網羅
3.わかりやすいように○×回答形式で掲載
(注)一部手書きでの回答項目もあります。

主に養育費、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割の情報を掲載。
20代~40代のご依頼者様が多いので養育費と面会交流の項目が多いです。

なお、3年位前からは世代を問わずご依頼を頂いております。
世代に応じてテーマになる離婚条件(退職金など)は異なりますが全て対応できます。

具体的には以下のように掲載されています。

・貯金の分配はどう記載しますか?(選択肢は3つ)
・動産の分配はどう記載しますか?(選択肢は3つ)

このように離婚公正証書などの作成に必要な情報を掲載しているので、
ご夫婦(自分)で離婚情報を集める時間は不要となり、効率良く話し合いができます。

なお、弁護士法の規定により相手方との交渉はお引受できません。

補足として+aの条件も多数掲載しており、○と回答した項目が多い場合、
養育費と面会交流の条件だけでもそれぞれ10個以上になるご依頼者様もいます。

+aの条件とは養育費と面会交流の項目に多く、
これらを検討することで離婚後のトラブル防止や後悔しないことに繋がります。

こういう訳でご依頼者様からは大変好評を頂いております。

詳細は離婚チェックシートとはをご覧下さい。

【公証役場手数料 2024/09/16】