年金分割とは?(仕組み)

年金制度を理解すれば、年金分割の仕組みも分かりやすくなります。
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年金分割のご相談はお任せ下さい

【目次】

● 年金分割とは?(仕組み)
● 年金分割が出来る人(対象者)
● 3号分割の特徴と手続き
● 合意分割の特徴と手続き
● 年金分割のQ&A

年金分割の制度(計算方法)はややこしいですが、
現在の年金制度の基礎を理解すれば、分かりやすくなります。

【年金制度について】

① 自営業  → 国民年金を納付
② 専業主婦 → 国民年金を納付
③ 会社員  → 国民年金+厚生年金を納付
④ 公務員  → 国民年金+共済年金を納付

年金制度を簡単に説明すると、老後の生活費を国からもらうため、
若い間に雇用形態(①~④)に応じて、毎月定められた保険料を納めます。
(注 平成27年10月1日から始まった年金の一元化の説明は省略します。)

自営業者は毎月納付書(銀行引落)で保険料を納め、
会社員(公務員)は毎月の給与から社会保険料が天引きされています。
(注 専業主婦は夫の雇用形態によって、納付方法が異なります。)

妻「私と夫の支給額に大きな差があるのですが・・・」

将来年金を受給出来る年齢になった時、
毎月の夫と妻の受給額が同じというご夫婦は少ないです。

例えば、夫が③会社員で妻が②専業主婦の場合、
夫は国民+厚生を納め、妻は国民だけを納めているので、
将来2種類の年金を納めている夫が、妻より多く支給されることになります。

会社員(公務員)は2種類の年金を納付しているので、2階建てと呼ばれます。

老後の生活費=夫の年金+妻の年金

婚姻中は夫と妻の支給額を合算したものが生活費となりますが、
離婚すると、支給額の少ない妻は経済的に苦しい生活を送ることになります。

【離婚時の妻の心境】

「私が支えたから働けたのに・・・」
「働けたからこそ、たくさんの年金がもらえている。」

こういった妻の不平等感を解消するのが、離婚時の年金分割という制度で、
今回のケースでは、夫が婚姻期間中に納めた厚生年金の一部を妻に移します。
(※ 専業主婦だった妻も厚生年金を納めたことになります。)

年金分割の申請を終えると、夫の支給額が減る代わりに妻の支給額が増えます。

ちなみに年金分割は雇用形態で判断されるので、
婚姻期間中の働き方によっては、妻の支給額が減ることもあります。
(例 妻が会社員として働き、夫が専業主夫として家庭を支える。)

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年金分割が出来る人(対象者)

年金分割が出来ないご夫婦もいるので、
自分が該当する・しないの判断から始めて下さい。

年金分割の申請は3パターンあります

年金分割は婚姻期間中に納めた厚生(共済)年金を分ける制度なので、
婚姻期間中のご夫婦の雇用形態によって、申請が出来ない人もいます。

【ご夫婦の雇用形態】

① 会社員&会社員
② 会社員&専業主婦
③ 自営業者&専業主婦

ご夫婦の雇用形態には多数の組合せがありますが、
全ての説明は出来ないので、今回は①~③の雇用形態について解説します。
(注 公務員については会社員と同じ扱いと考えて下さい。)

先ず①は共に厚生年金を納付している(共働き)ので、
婚姻期間中に多く納めた側が、少ない側へ年金分割を行います。
(例 夫から妻へ年金分割を行う。)

ただ現実的には共に経済的に自立しているので、
「年金分割をしない」という結論を出すご夫婦もいらっしゃいます。

次に②は夫が厚生年金を納付しているので、
婚姻期間中の夫の納付分について、年金分割を行うことになります。

当事務所では②の雇用形態に該当するご依頼者様が多いです。

最後に③は夫も妻も国民年金しか納付していないので、
年金分割は出来ず、そもそも話し合いの必要もありません。

【年金分割の申請方法】

① 3号分割
② 合意分割
③ 合意分割と3号分割の併用

年金分割の申請が出来ると分かれば、
次に申請方法(①~③)について考える必要があります。

各申請方法はご夫婦の意思で選ぶことは出来ず、
婚姻時期や婚姻時の雇用形態によって、いずれかの方法が決定されます。

この申請方法を間違えるとやり直しになるのでご注意下さい。
(例 3号分割だと思って準備していたのに、合意分割だった。)

各申請方法の詳細は後述させて頂きます。

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3号分割の特徴と手続き

3号分割は夫婦間の話し合いが不要なので、
合意分割に比べると、分かりやすい手続きとなります。

3号分割は分かりやすい手続きです

【3号分割の特徴】

① 平成20年4月以降分が適用
② 主に専業主婦(主夫)が対象者
③ 按分割合は一律折半(50%)
④ 離婚後1人で申請が出来る

先ず年金分割の内、3号分割の申請が出来るのは、
①平成20年4月以降に納付した厚生年金の保険料となります。
(注 この期間より前に納めた保険料は合意分割になります。)

次に3号分割の申請が出来る対象者は、
①の期間内において、厚生年金を納付していない人になります。
(例 主に②専業主婦(主夫)や扶養内勤務が該当します。)

次に3号分割には相場という考え方はなく、
③按分割合は一律折半となるので、相手との話し合いは不要です。

ちなみに後述する合意分割の申請をするためには、
3号分割とは違って、相手との話し合いで按分割合を決定します。

最後に3号分割の申請は1人で出来るので、
離婚後、年金事務所で手続きをすれば終了となります。
(注 事前に年金事務所で必要(申請)書類の確認をして下さい。)

【A夫妻の離婚までの経緯(一例)】

◇ 平成21年1月に結婚
◇ 夫は会社員で妻は専業主婦
◇ 妻は1度も働きに出ていない
◇ 協議離婚の成立

先ずA夫妻は平成21年1月に結婚しているので、
上述した特徴①「平成20年4月以降」の条件をクリアしています。

次に妻は結婚してから1度も働きに出ていないので、
上述した特徴②「専業主婦が対象」の条件をクリアしています。

こういう訳でA夫妻が年金分割の申請をする場合、
3号分割に該当するので、離婚した後に妻が1人で手続きをすれば完了です。

【年金分割に関するご相談】

「年金分割って難しいです・・・」
「3号か合意どちらに該当するか判断出来ません。」

年金分割の申請方法が分からないという方は、
年金事務所や専門家へ相談すれば、直ぐに分かる可能性が高いです。

尚、年金分割に関する相談をする場合は、
結婚した時期と夫妻の職歴を把握していれば、スムーズに進みます。

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合意分割の特徴と手続き

合意分割の仕組みは分かりにくいので、
依頼の有無は別として、1回は専門家へ相談することをお勧めします。

合意分割は複雑な手続きです

合意分割は分かりにくい仕組みであり、
対象者のパターンも複数あるので、主な具体例を使って解説します。
(注 今回は分かりやすさを優先するので、極端な例を使います。)

【B夫妻の離婚までの経緯(一例)】

◇ 平成15年1月に結婚
◇ 夫は会社員で妻は専業主婦
◇ 妻は1度も働きに出ていない
◇ 情報通知書を請求
◇ 按分割合の話し合い
◇ 協議離婚の成立

先ずB夫妻は平成15年1月に結婚しているので、
3号分割の特徴①「平成20年4月以降」の条件を満たしていません。

つまり結婚から①以前までの期間は合意分割で解決することになります。
(※ 結婚から平成20年3月までが合意分割になります。)

結婚から平成20年3月までの期間については、
どのような雇用形態(専業主婦・共働き)であっても、合意分割になります。
(注 国民年金しか納付していない自営業者は対象外です。)

夫「按分割合はどうする?」
妻「50%(折半)を希望します。」

次に3号分割の按分割合は一律折半だとお伝えしましたが、
合意分割では定められた按分割合の範囲内で決定する必要があります。
(例 40%~50%以内の範囲内で按分割合を決める。)

「按分割合の範囲が分かりません・・・」

各ご夫婦によってこの按分割合の範囲が異なるので、
合意分割に該当する場合は、事前に「情報通知書」が必要になります。

【情報通知書について】

◇ 年金事務所で発行
◇ 按分割合の範囲が記載

年金分割のための情報通知書は年金事務所で発行され、
按分割合の範囲を含む、婚姻中の夫婦間の納付記録が記載されています。
(例 按分割合の範囲「○%~50%以内」と書かれています。)

情報通知書を請求する際の必要書類は、事前に年金事務所で確認して下さい。

ちなみに情報通知書には第一号改定者・第二号改定者という項目があり、
仮に一号に夫、二号に妻と記載されている場合は、夫から妻への分割となります。

「按分割合に相場はありますか?」

協議離婚は夫婦間の話し合いで決定するので、
合意分割の按分割合も範囲内であれば自由に決定出来ます。

ただ一般的には折半(相場)が妥当だと考えられていて、
按分割合で揉めているご相談者様はほとんどいらっしゃいません。

【合意分割の申請の流れ】

◇ 年金事務所で行う
◇ 2人で出向く必要がある
◇ 年金分割の合意書があれば1人で出来る

年金分割の申請は離婚後に年金事務所で行い、
3号分割とは異なり、合意分割は2人で出向いて手続きを行います。

つまり合意分割の申請は1人ですることが出来ません。

妻「夫が来てくれるか不安です。」

合意分割の申請ではこのような不安を抱える方が多いですが、
公証役場で「年金分割の合意書」を作れば、1人で申請することが可能です。

夫婦間の合意内容(養育費等)を離婚公正証書に残す場合、
離婚公正証書の作成に加えて、年金分割の合意書を作られる方も多いです。
(離婚公正証書についてはこちらをご覧下さい。)

妻「平成20年4月以降分はどうなりますか?」

今回のケースでは、妻は離婚まで専業主婦だったので、
平成20年4月以降についての年金分割は、3号分割に該当します。

つまりB夫妻は合意分割と3号分割の申請となり、
これが年金分割の仕組みを理解する上で難しいポイントになります。

ちなみに今回のケースで妻が会社員(共働き)だった場合は、
結婚から離婚までの全ての期間について、合意分割で解決することになります。

【年金分割に関するご相談】

「年金分割って難しいです・・・」
「3号か合意どちらに該当するか判断出来ません。」

年金分割の申請方法が分からないという方は、
年金事務所や専門家へ相談すれば、直ぐに分かる可能性が高いです。

尚、年金分割に関する相談をする場合は、
結婚した時期と夫妻の職歴を把握していれば、スムーズに進みます。

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年金分割Q&A

不安や疑問を一つ一つ丁寧に解消することが、
離婚した後に後悔する可能性を低めることに繋がります。

情報通知書や合意書について知って下さい

Q1「年金分割はしなくてもいいですか?」

協議離婚は夫婦間の話し合いで進めるので、
仮に年金分割をしないという結論を出しても問題はありません。

婚姻期間が短いご夫婦の場合、この結論を出される方が多いです。
(例 少ししか増えないのに、手続きに行くのが面倒だと感じる。)

Q2「年金分割の合意が出来ない場合はどうなりますか?」

年金分割(合意分割)の合意が出来ない場合は、
家庭裁判所で行われる調停に進んで解決を目指すことになります。

尚、調停まで進みたくないと考えた場合は、
話し合いを継続するか、年金分割を諦めることになります。

Q3「年金分割には請求期限はありますか?」

離婚から2年以内に請求する必要があります。

離婚後に話し合う(合意分割)ことも出来ますが、
相手が非協力的になるリスクもあるので、離婚前の合意をお勧めします。

Q4「もう少し詳しく情報通知書について教えて下さい。」

離婚前に年金分割の情報通知書を請求した場合は、
請求した人のみに交付されるので、配偶者に知られることはありません。

つまり配偶者に知られることなく年金情報を把握出来ます。

一方、離婚後に年金分割の情報通知書を請求した場合は、
仮に1人で請求しても、両者(夫と妻)に交付されることになります。

こういう訳で離婚前・後では対応が異なるのでご注意下さい。

Q5「年金分割の合意書は簡単に作れますか?」

年金分割の合意書は公証役場でしか作れませんが、
記入する項目は少ないので、按分割合の合意が出来れば簡単に作れます。
(例 基礎年金番号・氏名・生年月日・婚姻日等を記入します。)

ただ年金分割の合意書を作るためには5,500円の手数料がかかります。
(注 必要書類等については、最寄の公証役場で確認して下さい。)